1979年~1980年頃にかけて日本中がYMOブームでした。当時まだ発売されたばかりのウォークマンにYMOのカセットを詰め込んで町中で聞くというのがファッション化していました。また小学生から大人までYMOが聞かれていたので社会現象化となっていました。ここでは、初めてYMOを聞く人/聞きたい人向けに、前期/中期/後期と分けて解説してみたいと思います。
前期(1978年~1980年)
前期の特徴は、当時はやっていたディスコを意識して「踊れる」曲が多いです。また、東洋を意識させるメロディーが特徴です。YMOが社会現象となっていたのは、この頃のサウンドです。
イエロー・マジック・オーケストラ(1978年リリース)
記念すべきYMOのデビュー作です。オリエンタルなムードが漂い、細野さんのユニットの延長といった色合いが強いです。ただ、当時B面の「東風」からノンストップで曲が移って行く様は圧巻です。さながらビートルズの「アビー・ロード」B面を彷彿させます。
イエロー・マジック・オーケストラUS版(1979年リリース)
YMO全米デビューにあたって、既発表の日本版をリミッスクしたものです。収録曲が一曲少なくなっているんですが、より洗練されたアレンジが楽しめるので、どちからか迷った方にはこちらをお勧めします。お金のある人は両方買って、微妙なアレンジの違いを楽しみましょう。
ではここで、アルバム収録曲から「Firecracker」のPVをどうぞ。
ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー(1979年リリース)
100万枚売り上げた、前期YMOの頂点となる作品。ジャケットの真っ赤な人民服が話題となりました。このアルバムには「ライディーン」「テクノポリス」「ビハインド・ザ・マスク」といった有名な曲が収録されています。A面でこそテクノポップ全開ですが、B面はロック色が強くなっています。
ではここで、アルバム収録曲の「ライディーン」と「テクノポリス」のPVをどうぞ。
パブリック・プレッシャー/公的抑圧(1980年リリース)
オリコン初登場第一位を記録しました。ワールドツアーのライブ版です。個人的には、前期YMOの最高傑作だと思います。契約の関係上収録出来なかった渡辺香津美のギターに変わり、教授のシンセをあとでかぶせたかたちになっているのですが、これがよりいっそうテクノポップらしくなっていい方向に働いていると思います。
増殖(1980年リリース)
20cmLP(25cmだったかな?)という通常とは違ったパッケージでリリースされた点が話題になりました。通常のLPの棚に陳列するために、赤い段ボールの台紙が敷いていました。このアルバムではYMOの曲が半分/スネークマンショーのコントが半分で、非常に物足りなかった思い出があります。
中期(1981年)
中期のサウンドの特徴は、「暗く重い」「実験的な試みが多い」といったところでしょうか。
「ライディーン」や「テクノポリス」のような、ポップで踊れる曲でファンになった人達はは、このアルバムが出て一斉に消えてしまいました。要は、「聞きたい人だけ聞いてください」的な姿勢。ユキヒロ氏によると、「ファンのふるい分け」を意図的に行っていたそうです。
私はこの頃からリアルタイムで聞いていましたので、世間の人よりはワンテンポ遅れてのYMOデビューでした。
BGM(1981年リリース)
今まで「ライディーン」「テクノポリス」「東風」を聞いてYMOファンだった人の多くは、YMOのニューアルバムという事でこのアルバムを予約した事でしょう。そして発売日にレコード屋でゲットして家に帰って再生してみてぶっ飛んだのではないでしょうか?暗い。真っ暗です。妙な実験音楽(「ハッピーエンド」「来るべきもの」)も入っています。ただし、いったんその音に慣れてしまうと非常に気持ち良いんです。個人的にはYMOの最高傑作に推します。このアルバム制作時に教授はスランプに入ってしまったので、細野さんとユキヒロ主体で制作されました。
テクノデリック(1981年リリース)
世界初のサンプリングアルバムとして知られています。このアルバムも暗いんですが。サンプリングしたリズムが妙なリズム感を得ています。「BGM」よりは聞きやすいかも。世間一般的には、このアルバムがYMOの最高傑作とされています。前作でスランプだった教授が復活したので、教授主体に作られたアルバムだそうです。
後期(1983年)
後期のサウンドの特徴は、「松田聖子や中森明菜などアイドル歌謡のノウハウを使って、わかりやすいポップスを作る」といったものです。「君に、胸キュン」のPVでは、メンバーのかわいいおじさんぶりが見られます。すでに散開する事が決まっていたらしく、最後に一花咲かせようかと行った感じでしょうか。
浮気なぼくら(1983年リリース)
中期とのあまりの変わり用に、同じバンドだとはとても思えません。このアルバムでは底抜けに明るく、日本語でポップスしています。個人的には結構好きな方のアルバムです。特に教授作曲の「音楽」「邂逅」がメロディーが美しくて好きです。
サーヴィス(1983年リリース)
YMOのスタジオ盤としてはラストのアルバムです。アルバムのタイトルの意味は、本当は前作で散開する予定だったけど、サービスでもう一枚出しましたってことです。ここでは再び歌詞が英語になり、肩の力の抜けた自分たちのやりたかったポップスを奏でています。半分はコントなのですが、私はいつもコントの部分は飛ばして聞いています。何度聞いても面白いってものでもないし。
アフターサーヴィス(1983年リリース)
YMOの解散(散開)ライブを編集して2枚組に収めたアルバムです。
ライブとはいえ、テープで音源を流して、YMOのメンバーが伴奏するといった形態だったため、いわゆるライブ的な熱いノリはなく、割と淡々とすすんでいく感じがします。
ライブ盤では、「パブリック・プレッシャー/公的抑圧」のほうが満足度が高いです。
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コメント
「ぱらいそ」は?
その前の、
ハーリー細野&イエロー・マジック・バンド時代のアルバム「ぱらいそ」とかも紹介して欲しいなぁ。
YMOのシンセだけになる前の、アジアとヨーロパ音楽の融合実験だった頃のこのアルバムの方が好きでした。ストリングスや生楽器、民族楽器なんかも使って、かなりリラックス&気持ちイイ系の音楽でしたよ。
おーーコレコレ
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